So-net無料ブログ作成
検索選択
前の10件 | -

379  熊とチーター

「このあいだ、俺、恐ろしいことに気がついたんです」
「はて・・」
「生命保険なんですが」
「なにか・・」
「保険金が出るのは、俺が死んだときですよね」
「そうだよ」
「今のところ、俺に家族は居ませんから、受け取りは親になる」
「まあそうだろう。それで・・」
「結婚すれば、もちろん、受け取りは妻に替える」
「うん」
「だから、俺は、いつ家庭持っても、俺の万一の時は、一応OKです」
「そのための生命保険だからね」
「でもですよ、万一じゃないときはどうするのか、がある」
「と言うと」
「今の俺の給料ですと、家族養うのは苦しい」
「うーん・・・」
「つまりですね、万一の時の用意はもう出来ているのに、なにもないときの用
意が出来ないんです」
「そういうことか」
「下手すると、結婚できないかも知れない」
「その結論は早すぎる」
「死ぬときは分かんない、あした交通事故にあって死ぬかも知れない、なんて
言うヤツいるけど、そんなのウソだ」
「よく聞くセリフ、だね」
「死んだあとより、死ぬ迄、死ぬ迄の生活の方が大変じゃないですか」
「生きる、というのは大変なことなんだ」
「だから、死んだとき、なんていう遠い先のことなんかあとでいい。いっその
こと、生命保険辞めようかな、とも思ったんです」
「いや、続けるべきだ」
「どうしてですか」
「君の言うとおりだけど、生命保険とは関係ない理由だ」
「はぁ・・」
「毎日の生活は、保険とは関係ないこと」
「・・・」
「生命保険は、長生きを保証するわけでもないし、毎日の生活を保障するもの
でもない。保険料、ということでは、出費を増やすだけだ」
「そう、それなんですよ」
「いいか、なにもないときの備えって、なんのことか、だ。なにもないときは
仕事にはげむ、それだけだろうが。万一でないとき、なにもない毎日は、働き、
あそび、或いは勉強すべき毎日だ」
「・・・」
「強いて言えば、生命保険は、貯金というほどではなくても、それに近いはず
だ。だから、保険料は貯金。なにもないときにすべきことは、保険料を払うこ
とだけ。不足はないはずだ」
「うーん・・・」
「生命保険は、なにもない日々にする貯金、と考えたらどうかな」
「保険のおばさんも同じようなこと言ってたな」
「ただし、貯金とは言ったけど、俺は、解約返戻金のことを言いたい訳じゃ無い」
「はぁ」
「解約はしても、返戻金は受け取ってはダメなんだよ」
「どういう事でしょうか」
「生命保険が貯金、と言うのは、いつでも使えるカネために、積むわけじゃ無い」
「意味がよく分かりませんが」
「解約ではなくて、いわゆる払い済みにしろ、と言うことなんだよ。金額はし
れたものになるとしても」
「・・・」
「そうすれば、生命保険としては生きている。だから、結婚前にそうしても、
結婚後も役に立つ。解約ではないから」
「うーん」
「毎月の保険料はなくなるから、少しでも家計の方に、なら、それで構わない
と思う」
「そのための払い済み・・・」
「そう。解約返戻金を家計に回すのはガマンすべきだ」
「なるほどねぇ」
「そして、少し余裕出来たら、改めて生命保険に入れば良い。」
「入り直すと毎月の保険料、高くなりますよね」
「当たり前じゃないか。それがいやなら、いまのを続けて入ればよい」
「そうかも知れませんが・・」
「共稼ぎすれば良いじゃないか」
「まあ・・」
「君の収入だけで家庭を持てるのは理想かも知れないが、いま、それがふつう
と言えるときなのかどうか」
「・・・」
「亭主だけだと、俺みたいにリストラになると、その日から収入はゼロになるぞ」
「そうか・・」
「稼ぎは多い方がいいさ。でも、稼ぎが少なければ共稼ぎすればいいだろう。
亭主がリストラになってから、慌ててパートに出る、いや、その時初めてパー
トに出る、というのも、一つの生き方だけどね」
「そうか、亭主の稼ぎが少なければ、女房も保険かけておけ、ですか」
「あはは・・」
コメント(0) 

378  パンダと羊

「パンダさんは定年過ぎたのに、あいかわらず働いていなさるそうで」
「バイトですよ」
「ほう」
「身分はアルバイト扱い、と言うことです」
「しかし、仕事は社員とおなじじゃないのかの」
「その通りです」
「それで良いのかの」
「良いとも言えないが、定年は過ぎてますから仕方ない。よその会社や、別の
仕事探しても同じだと思います」
「じゃあ、まだ働けるだけ良い、と・・」
「まあ、そうです」
「いまは、すぐ年金はもらえんしの」
「ええ、まあ」
「他に理由があるのかね」
「無いことはないですね」
「差し支えなければ、教えてくれんかの」
「家に居たくない、からです」
「むむ・・」
「男は家に居てはいかんのですよ」
「たとえば、読書もダメかの」
「夜で良い。朝飯終わったらすぐ読書なんて、俺には出来ない」
「趣味はいろいろじゃからの」
「まあ、カネも欲しい」
「生活費は生きている限り必要じゃからの」
「もちろん、バイトですから、たいしてもらえませんが」
「いや、バカには出来ん」
「その通りです」
「体は大丈夫かの」
「働ければ健康とみなす、と割り切っています」
「ほう」
「やはり、あちらこちら悪いところは出てきています。やはり年ですね。10
年前とは自分でも違うと思う」
「病院は・・」
「行きません」
「なぜじゃね」
「・・・」
「まずいことを訊いてしまったかの」
「いや、言っても分かってもらえないと思ったんで」
「そんなことか。遠慮はいらん。言ってみなされ」
「死ぬためです」
「・・・」
「仕事中に倒れて、病院に運ばれたけど回復せずそれっきり、が理想です」
「さあて・・」
「倒れたら必ず死ぬためには、今具合悪いところを直しておいてはならない」
「うーむ」
「無事退院できたら、意味がない。死なずに後遺症だけ残ったら最悪だ」
「それはそうかもな」
「俺の心配事はそれだけです。後遺症のために簡単に死ねなくなるかも知れないし」
「・・・」
「ですから、体調には毎日気を遣っていますよ」
「ほう」
「この程度だと、死なずに後遺症だけ残るかも知れない、さて、もっと悪くな
ってくれないか、と」
「恐ろしいこと、言いなさるの」
「死ぬのは1回だけですから、入院も、死ぬための1回だけで良いんです。治
って退院したら、2回入院することになる」
「アンタにはついて行けんの」
「だから、分かってもらえないだろう、と言ったんです」
「失礼した。じゃがの」
「はい」
「アンタはそれで良いとしても、家族はどう思うか」
「生命保険に入っているから、保険金で勘弁してもらいます」
「うーむ」
「そのために、生命保険も続けているわけです。バイトも、保険料のため、で
もある」
「それはそうかも知れんがの」
「仕事中に死ねば、死ぬ迄働いた、と言うことになる。それが俺の夢なんですよ」
「長生き、ではないのかの」
「働ける限りなら、ですね」
「仕事あるかのう」
「だから、今の仕事を出来る限り続け、その間に、と言うことなんです」
「そうか、わからんこともないが・・」
「働いている限りは、生命保険の保険料も払っていられる」
「しかし・・」
「正直言えば、貯金だって無い訳じゃ無いから、働かなくても食べることだけ
は出来る。でも、しごと辞めたら家にいなければならない。それは耐えられない」
「・・」
「仕事に行くために、家を出る、外に行く、この生活リズムが必要なんです」
「なるほどのう」
「昔のCMで、亭主元気で留守が良い、というのがあったけど、女房だってそ
う思ってるはず。外で死んでくれればそのときの手間省けるし、生命保険に入
って居るんだから、保険金ももらえる。仕事中に死ねば、家族に不満のあろう
はずがない」
「まいったのう」
コメント(0) 

377  山羊と羊とロバ

「最近、やっと分かったんじゃが」
「なんじゃの」
「生命保険、というのは、イメージの話なんじゃ、と」
「なんのことじゃ」
「まあまあ、訳の分からん話から始めるのが長老の常套手段じゃからの」
「ワッハッハ」
「それで・・」
「生命保険に入ると、安心、とCMして居ろうが」
「家族の安心のために、じゃないかの」
「そんなことはどっちでも良いわ。よいか、残された家族全員が寿命を全うす
るのに必要な金額が保険金として出ると思うかの」
「大きな契約なら出来ようが、みんな、そこまでするのかどうか」
「じゃあ、何が安心なのかね」
「うーむ」
「ならば、あんしん、等と言うな、と」
「いや、良いんじゃ。安心、とはそういう事じゃ無いんじゃ」
「ほう」
「生命保険に入ったとき、安心、と言うことを感じるなら、それで良い。感じ
ることが全てなんじゃ」
「安心感、を買った、と言うことかの」
「安心感、ではなく、安心、というイメージを買ったんじゃ」
「ややこしいのう」
「生命保険は、イメージが全てなのよ」
「さぁて・・」
「みんな、入るとき、勝手なことをイメージして、勝手に安心する。それで良
いんじゃ」
「夢を売る、とでも言いたいのかの」
「よくよく考えればの、自分の今の生命保険の保険金が家族にどれだけ役に立
つのか、たかが知れて居ろう。現実はそうなる。でも、現実、事実が目的じゃ
ない。イメージなんじゃ」
「保険金が出るのは間違いないが」
「このマンションも同じじゃ」
「どういう事じゃ」
「住み始めたときから、マンションは傷み始め、汚れ始める。我々の生活も少
しずつ変わる。じゃが、それはそれとして、売り出し当時の、家族向きの落ち
着いた高級マンション、というイメージはみんな、まだ持っているはずじゃ。
いや、永久にそう思い続けるはずじゃ」
「おうおう」
「なるほどの。そういうことか」
「みんなが、そのイメージを持ち続ける限り、このマンションは分譲時のまま
でありつづけるのよ」
「うーむ」
「大規模修繕や、あちこちの手入れが必要になっても、イメージには響かない」
「現実は現実として修理、しかし、イメージは永久に変わらない・・」
「だからこそ、みんな住み続けて居るんじゃろうが」
「なるほど。ごもっとも」
「さすが、長老じゃの」
「じゃからの、生命保険も、本当は、安心、と言うイメージすら必要無いのか
も知れん。生命保険に入った、或いは入って居る、とそう言えることだけで良
いのかも知れぬ」
「うーむ」
「生命保険に入ってないヤツは、入って居るなどと言えん。当たり前じゃがの。
ならば、はいったなら、誰でも言えるか」
「保険金の金額次第じゃろう」
「それが間違いなんじゃ。多ければ多いほど良いものではない」
「それはそうじゃろうな」
「訊かれたとき、入って居る、と静な気持で答えられるかどうか、じゃ」
「むつかしいの」
「自分も保険金の額にこだわって居れば、静には答えられんはず」
「そうかもしれん、の」
「家族のために入る、それでいい。そういうイメージで入ったんだから。いま
も、そのままのイメージを持っているか、なのよ」
「入るとき、どういうイメージを持つか、じゃな」
「マンション見れば分かるが、現実はどんどん変わる。でも、みんなの心の中
のイメージは変わらない。現実より、イメージのほうが強靱じゃ」
「そうか、生命保険は、現実的な計算より、イメージで入った方が良い、とい
うことか」
「自分にイメージがあるならば、じゃが」
「なるほど、そこか」
「イメージは現実ではない。じゃが、イメージは我々の支えになる。イザと言
うとき、想定外のことに出くわしたとき、自分の持っているイメージが、みち
を暗示してくれるんじゃなかろうか、の」
「間違った道かも知れんぞ」
「かまわん。間違っていても良いんじゃ。自分のイメージだったのじゃから」
「そこまで悟り、達観出来るかのう」
「生命保険に入れば出来るようになる」
「それは、長老の初夢じゃろう」
「ワッハッハ」
コメント(0) 

376  熊とサラブレッド

「熊さんは、自分の誕生日に、何かしてますか」
「両親のお墓参りにいきます」
「ほう。何か訳でも」
「誕生日というのは、俺をこの世に送り出してくれた日で、親と俺が親子にな
った日のことですから」
「言われるまで気がつかなかったな。親子の絆が結ばれた日なんですね」
「そして、誕生日ごとに俺も一つ年取るわけですが、それは、親からもらった
命をまた一年積み重ねた、という証の日になるわけです」
「うーん、まさにそのとおりですねぇ」
「そのことを、親に報告しにゆくためですよ」
「なるほど」
「誕生日がお目出度い訳じゃない」
「参ったな」
「まあ、ケーキで祝うのはどこに居ても出来ますが、お墓参りは、お寺に行か
ねばならないと言うことがありますけど」
「それはそうですね」
「俺の場合、親と話す、というのは、もう、お墓参りの時しかできないし」
「そういうことですか。ゆかしいなぁ。良いことしてますねぇ」
「そんなに感心するほどのことじゃない。誰でも出来る平凡なことですよ」
「平凡なことほど、誰もが出来ないんですよ」
「大げさなこと言わないでもらいたいな」
「失礼ですが、いつ頃から始めたんですか」
「つい最近行き始めただけですよ」
「お話聞いて、誕生日にゆく、ということに改めて感服します。俺も、見習っ
て、来年からゆくことにします」
「・・・・」
「感服、なんて大げさに言うと嘘らしく、いや、もしかすると皮肉に聞こえる
かもしれないが、本心です」
「まあ、良いでしょう」
「だって、そんなことしている話、他から聞いたことない」
「お墓参りは、親の命日にゆくのが普通でしょうね」
「命日は・・」
「もちろん、お墓参りにゆきますよ」
「ずいぶん熱心ですね」
「そんなことないでしょう。墓参りだけで、お寺の行事に参加してる訳じゃな
いから、年に何回も行ってない」
「行事参加は・・」
「まあ、考えなくもないが、今からじゃ遅いかもしれないし」
「どうなんでしょうね」
「いつか、一回は何かに参加してみたいと思ってはいます」
「ともかく、お盆やお彼岸より、自分の誕生日こそが、親のお墓参りの日なん
ですね。そのことは、肝に銘じておかねばならないな」
「・・・」
「いまさらこんなこと言うのも何ですが、熊さんて、親孝行ですねぇ」
「いや、自分では親不孝だったかも、と思うんですよ」
「まさか」
「親が言うとおりに勉強していれば、と今になって思うことがあります」
「・・・」
「もちろん、今頃になって自分を責めてる訳じゃ無い」
「責める必要はないでしょう」
「最終的には、親も俺の生き方を認めてくれたと思いますから」
「はい」
「別に、何から何まで逆らった訳じゃ無い。親が何を言いたいのか、もっとも
っと話をよく聞いておけば、というだけです。いつも、途中までしか聞かなか
ったな、という反省ですよ」
「なるほど」
「親とは、もっともっと話しておきたかった。でも、もう出来ない。それで、
せめてお墓参りに行って、いろいろ話しかけて居るんです」
「・・・・」
「もちろん、親の言ったとおりにしたこともありますよ」
「差し支えなければ教えてください」
「それがね、生命保険なんです」
「はあ・・」
「就職したら、入っておけといわれて、特に疑問を感じずその通りにしました」
「その生命保険は・・」
「何回か書き換えて、最終的には払い済みにしたから、もう保険料は払ってな
いが、ちゃんと活きています」
「払い済み、ということは、文字通り、熊さんの一生をカバーしてるわけだ。
死ぬまで親の言ったことを守る、なんて、すごいな。おれも、反省しないとダ
メだな」
「そんな大それたことじゃない。誰でも出来ることです」
「誰でも出来るけど、ほとんど誰もやらない、なんてことはいくらもあります
よ。親に言われた生命保険を死ぬまで続ける。それ以上の親孝行はあり得ない」
「うーん・・」
「本当にそう思います」
「そんなふうに言っていただける、とは思わなかったな」
「熊さんはたまたま生命保険なんだけど、何でも良いから、親の言ったことを
ひとつは守る、というのは、ゆかしいですねぇ。世のすべての親子がそうなら、
もっと落ち着いた世の中になるんだろうなぁ」
コメント(0) 

375  ロバとうさぎ 

シャッター商店街のベンチで、ロバは自動販売機のお汁粉を飲んでいた。
「ロバさん、お汁粉飲むなんて、どういう風の吹き回しなの」
「おお、うさぎさんか、たまたまじゃ」
「ロバさんが、甘いもの好きだとは知らなかった」
「そういうことじゃない。ときどきは甘いものも、必要じゃ」
「それはそうですけど・」
「ところで、保険会社が保育所を始めるそうじゃな」
「新聞にでていたわね」
「久しぶりの暖かいニュース、とわしは思ったんじゃ」
「それで、お汁粉・・」
「そう。暖かさ、を祝って」
「相変わらずね」
「なんだかんだと理屈付けて、酒飲むよりは良かろう」
「はいはい」
「○○生命、ああ、保育所の会社じゃな、となるくらいまでがんばって欲しいのう」
「どうせなら、もっと早くやって欲しかったな。あたしの子育てには間に合わ
なかった」
「文字通り、ゆりかごから墓場まで、になるのじゃ」
「良いことよ」
「入り口は、保険会社の名前を大きく、保育所の文字は小さく、がよろしかろう」
「どうしてなの」
「保険会社がやっている、ということを知ってもらうためよ」
「まず、PRということね」
「いや、保険会社のビルとは保育所のビルのこと、を知ってもらうため」
「おんなじことよ」
「どうして今までやらなかったのか不思議じゃ」
「そうかしら」
「よいかの、どちらも、まず、安心、ということが第一じゃろうが。子供を安
心して預けられるか、預けて安心できるか。生命保険も、入れば安心、と同じ
じゃろう」
「はい」
「寒い冬でも、暖かいその保育所に安心して子供を預けられるなら、その保育
所をやっている会社も暖かくて安心、と言うことになろうが」
「そして、その会社の生命保険も安心、となるわけね」
「その通りじゃ。その生保は、生命保険のPRはしなくて良くなる」
「暖かい保育所のPRでいい、と」
「ワッハッハ」
「保険のおばさんから、保育所のおばさんに変身なのね」
「良いのう。大賛成じゃ。わしも、保育所の雑用係を目指すかの」
「子供達がいやがるわよ」
「そこまでは、言わんで欲しいがの」
「はいはい、取り消します」
「ともかく、保育所で、生命保険を勧めるのは良いと思う」
「ロバさん、知らないのね。子育ては大変なのよ。そんな余裕なんかないのよ」
「何かのイベントの時でよい。保護者会でも良い」
「無理じゃないかなぁ」
「急ぐことはなかろう」
「どうでしょう」
「保育所で世話になった保育士の先生や、職員の方々のことは、卒園しても覚
えているじゃろう」
「もちろんよ」
「保育士兼保険のおばさんだったら・・」
「そんな器用なこと、無理。保育は片手間じゃないのよ。いま、責任重いんだ
から」
「そうかそうじゃったな。じゃあ、職員なら出来るかも」
「そこまでねぇ・・」
「こどもたちの怪我や急病に備えて、保育所で保険入っては居らんのかの」
「どうだったかしら・・」
「いずれにしろの、保育所に入るのは、保険の始まりじゃ」
「ロバさんて、保険会社のOBなの」
「残念ながら、違う」
「だって、あきれるほど熱心じゃない」
「良いことは良い、それだけじゃが」
「それだけかしら」
「生命保険はの、入ればそれで終わりじゃない。見直しが必要になるんじゃ。
そのとき、保育所でお世話に成り、気心の知れている保険会社の職員なら一番、
ということなのよ」
「そこまで・・」
「保育所に行けば、生命保険のことがいつでも相談できる、そうなって欲しいんじゃ」
「あたしには分かんない」
「保険会社の保育所じゃ。市立のような、転勤はなかろう」
「そうかもしれませんが・・」
「どうなるか分からんが、の」
「ロバさんの望むようには・・」
「とにかく、寒いときは暖かいものが一番じゃろう。なべ物も良いが、お汁粉
も捨てがたいぞ。旦那さんもたまには喜ぶかも」
「はいはい」
「自販機のお汁粉は文字通り汁だけじゃが、お餅を入れたのを食べると、自分
の子供の頃を思い出す。鏡開きもそうじゃったな、などと」
「あたしもおぼえている」
「安心、というのは、暖かさのことじゃろう。暖かさ、とは忘れられないもの
なんじゃ。保育所で、そのことを体で覚えて欲しいんじゃ」
コメント(0) 

374  猿とパンダ

「今頃なんですが、原発のリスクって、なんだと思いますか」
「急に言われても・・」
「まあ、そうかもしれませんが」
「それに、俺は原子力のことは、なんにも知らないんで」
「原子炉のことじゃない。身近なことです」
「分かんないな・・」
「年金と生命保険のカットですよ」
「えっ、カットになるんですか」
「いや、まだです」
「脅かさないでください」
「だから、リスクなんです」
「うーん・・」
「年金の原資が復興予算に流用されるのは新聞にも出ていたとおり」
「確かに」
「いつからになるかはともかく、カネが無くなるんだから、支給カットは決ま
ったも同然だ」
「それはそうだろうが」
「まあ、年金カットの理由は他にもある、いや、いくらでもある」
「それは言えるけれど・・」
「保険会社もカネが無くなっているはずだ」
「そんなニュースありましたか」
「まだです。たぶん、まだ計算できてないと思う」
「まさに放射能だな」
「はぁ」
「影響は将来まで長期に及ぶし、拡散するばかり」
「なるほど。本当だ。同じだ。うまいことを言う」
「感心している場合じゃ無いんだが」
「ごもっとも」
「我々になにか打つ手ありますかね」
「さあ・・」
「これからは、大きく・長く、ではなく、小さく・短く、ですかね」
「その方が保険会社も楽になるのは、確かだと思う」
「大きな金額を長期運用する、というのは、大変なことなんですね」
「保険は、大きくすればするほどリスクが大きくなるんですよ」
「大きくすると、大きな安心どころか、大きな不安、ですか」
「誰も気がつかなかったけど、保険、というのは、リスクを消してくれる訳じ
ゃ無い。例の、飛ばし、と言うヤツですよ。リスクを飛ばしているだけなんです」
「参ったね」
「保険とはそういうものなんですよ。別に不当、不法でもない」
「やれやれ。まあ、どうであろうと、我々はもう手後れだが」
「若い世代に伝えればよい」
「でも、不安は我々じゃなくて、保険会社自身でしょう」
「だからますます、合併してでも大きくなろうと考えるわけです」
「小さく・短く、とすればどのくらいですか」
「むつかしいな。1年では短いかな」
「ただ、1年で清算するんだと、長期運用のプレッシャーはなくなる」
「無理しなくて済む訳ですね」
「保険金のために、無理して運用するんじゃ、保険にならないでしょう」
「金融会社だから仕方ない」
「そういうことか」
「生命保険が単純だった頃に戻れれば良いんだが」
「もう、戻れませんよ」
「保険会社は戻る気もないだろうし」
「われわれが、小さく・短く、で選ぶしか無いと思う」
「そんなのありますかね」
「要望する」
「さあて・・」
「すぐは無理としても、要望し続ければ、考えざるを得ないでしょう」
「うーん」
「考えて見ると、保険会社に何か言う、なんてこと無いかも」
「言おうと考えたことからして無い」
「銀行にはそれなりに言ってるでしょうけど」
「いやいや、言ってる、なんて言えるレベルじゃない」
「それより、意見を聞こう、なんて姿勢ありますかね」
「最近は、あるんじゃないかな」
「実際に言ってみないと分かりませんね」
「それは言えるかな」
「生命保険を大切に考えるなら、我々も疑問は言うべきなのかも知れない」
「だと思います」
「黙ってる我々にも責任ある・・」
「いま、そこまで言うのはどうかな」
「いずれそうなるかも」
「あり得るな」
「自己責任、と言うことか」
「相手に責任を押しつけるときはそう言ってきます」
「保険会社がその言葉使い始めたらおしまいですね」
「俺もそう思います」

コメント(0) 

373  山羊とチーター

「チーターくんは、新聞の折り込みチラシなんか見るかな」
「いえ、お袋は見てるらしいですが」
「どういうチラシか、くらいは見ておいた方が、勉強になるんじゃないかの」
「うーん」
「最近のマンションのチラシじゃが」
「はい」
「値段が随分高くなっておる。億ションも当たり前のようじゃ」
「場所や設備が良いからでしょう」
「それはもちろんじゃ」
「そんなことが勉強になるんですか」
「君の会社の景気はどうかの」
「きびしいですね」
「格差拡大、二極化、等という言葉、聞いてるかの」
「まあ、言葉としてですが」
「君は、世の中の景気はいいと思うかの」
「まさか」
「じゃあ、高いマンション、誰が買うんじゃ。」
「そういわれると・・」
「もちろん、不景気だろうと、稼いでるヤツは居る。しかし、そういう連中は、
カネが余れば、どんどんマンション買うと思うかね」
「投資用、とか」
「マンション投資は確実と思うかの」
「外資とか、その関係者じゃないですか」
「それはあり得るの。わしらの知らない金持ちは大勢いるのかも知れん」
「ならば、ますます俺には関係ない。なぜそんなことが勉強になるんですか」
「よく考えてみなされ。車もそうじゃが、買う、と言うだけなら、それほど難
しくはない。問題はその後じゃ。持ち続けられるか、じゃ。高いものは、買う
ときよりも、持ち続けるのが大変なんじゃ」
「なるほど」
「億ションの管理費は、わしらのマンションとは一桁、もしかすると二桁違う
かも知れん」
「うーん」
「死ぬ迄億ションに住むなら、死ぬまで払わにゃならん」
「そうか・・」
「何十年も払い続けられるヤツはどれだけ居るか。億ション買ったヤツの、ど
れだけが最後まで残るか、じゃ」
「なるほど」
「見物としても、おもしろいじゃろう」
「さすが、長老ですね」
「わしは、億ションの裏には保険会社が居る、とにらんでるんじゃが」
「はあ??」
「まず、建設資金の融資、があり得るじゃろう」
「うーん。あるかも」
「億ション買うヤツがどの程度ローン組むのか分からんが、住み始めれば、住
み続けることの大変さにいずれ気がつく」
「はいはい」
「イザ、となれば売り払って引っ越しするかも知れんがの」
「でしょうね」
「つまりの、イザと言うとき必要なカネの桁も違ってくるはずじゃ」
「そうなるでしょうね」
「そのとき役に立てるのは、生命保険しか無かろう」
「なるほど」
「億ションに入るヤツなら、入る保険の大きさも違うはず。保険会社にとって
はおいしい客のはずじゃ」
「でしょうが、ますます俺には関係ないですよ」
「そう先走らんで欲しいがの」
「はぁ」
「10年後、20年後、関係者、関係会社はどうなっているか、なのじゃ」
「はぁ」
「どうかなったとき、どこにどれだけ影響あるのか、なのよ」
「そんなこと、だれにも分かりませんよ」
「だからこそ、要注意なんじゃ。保険会社には影響するぞ」
「それはそうかも知れませんが・・」
「君の入って居る保険会社にも、影響あるかもしれんぞ」
「参ったな」
「つまりの、億ションに限らんが、高いマンションが多くなって行く、という
のは、わしには不吉な前兆と思えてならんのじゃ。生命保険が、一部の連中の
ためだけのものになりはせんか、一部の連中のためにダメにされはせんか、と
心配なんじゃ」
「うーん。よく分かりませんが」
「チラシは、そういうシグナルじゃ」
「そうでしょうか・・」
「高いマンションほど、分譲時の儲けは大きい。ディベロッパーは、今儲かれ
ばよいからの。30年後のことなんぞ、考えてもおらんよ。後は知らんよ、と
デベロッパーは公言してるんじゃ。災いのタネ、と言うべきじゃ。それが増え
ていっていいと思うかの」
「参ったな」
「わしらのところより、よそのマンションがすばらしい、なんて話じゃ無いん
じゃ。よそをうらやんでるような、能天気じゃ居られんのよ」
「しかし・・」
「不吉な前兆、と言ったはずじゃよ」
コメント(0) 

372  牛とうさぎ

「牛さん、なんか良いことあったの」
「べつに。何で」
「最近、なんか、さっぱりとした顔だもん」
「そうかなぁ」
「株が当たったとは、見えないんだけど」
「あはは、株は大はずれだね」
「まさか・・」
「外れなら涼しい顔してるわけがない、と言いたいんだな」
「ふつう、そうじゃないの」
「俺が株を買った会社がつぶれた訳じゃ無い。もちろん、値下がりしてるから、
いわば含み損はある。でも、いわゆる減損処理の必要は無い。ここしばらくは、
生命保険の代わりに株、という考えはダメだったかも知れない。そういうこと
では、外れた。だから、値段が戻るのを待つだけ。それだけさ」
「よくわかんないけど」
「まあ、まだ2,3年は俺も死なないだろう。2,3年後、どうなっているか、さ」
「いつものセリフね」
「でも、株は痛快だね」
「ええ?」
「今、話題のカメラメーカーのことさ」
「ああ、あれ」
「株、というのは、会社、会社への見方というものを劇的に変えてしまう、と
いうことが見事だ」
「うれしそうね」
「株、の醍醐味だから」
「これからどうなるのかしら」
「見物、だよ」
「無責任じゃない」
「違う。よく見なければならない、と言うことだ」
「ええ??」
「優良メーカーと言うことで、保険会社も株はたくさん持っているはずだ。全
部処分した、と発表した生保もあったけど」
「だから・・」
「生保もかなり痛いはずだ。そうなると、生命保険に影響する、と言うことな
んだよ」
「それ、ほんとなの」
「いずれ分かる」
「どうなるのかしら」
「だから、見物、なんだよ」
「・・・」
「株と生命保険は裏表のもの、という俺の考えも、満更でもないでしょう」
「良く分かんない」
「株は。結果がすぐ分かる。でも、生命保険への影響はすぐじゃない。保険会
社も必死に食い止めようとするからね。でも、影響は必ずある。忘れた頃、影
響が出てくることの方が俺は困ると思う」
「・・」
「時間差、の問題さ」
「・・」
「生命保険の方が、時間を稼げる、のは確かだ。生保がおかしくなる前に旅立
てばなんの影響も無いが、そのためにあえて死ぬことを考えるバカは居ない」
「やっぱり、株より生命保険、と言うことなの」
「自分の寿命と、今度の問題が分かっているならば、だ」
「なんだか頭痛くなりそう」
「でも、問題が分からないのが普通」
「じゃあ・・」
「それにね、分かったからと言って打つ手もない」
「どういうこと」
「結局、時間を稼ぐんじゃなくて、先送りするだけになるんだ」
「だから」
「先送り、は誰でも出来ることだからね。しかたないし、それでいいのだろう」
「ねぇ、結局、どうしろと言うのよ」
「あきらめだろうね」
「そんな・・」
「だから、見物、として見るのがベストなんだよ」
「でも・・」
「どのみち、ツケは俺たちのところに回ってくる。それからは逃げられない。
ならば、その埋め合わせ、でもないが、今は見物として楽しんだほうが良い。
その方が、あきらめやすい」
「・・」
「当時は楽しませてもらったんだから、であきらめろ、ということになるのさ」
「やめてよ」
「株の恐ろしさ、株は素人が手を出すもんじゃない、と言うことがよく分かっ
たはずだぜ。素人は含み損のまままで良いが、会社は減損処理が必要と
言うこと。それが今回の始まりじゃないか。あの会社も素人基準だったのさ。
株の素人が会社のトップにいたと言うこと」
「あの会社はどうなるの」
「さあ、まあ、俺の知ったことじゃ無い」
「社員の人は大変ね」
「サラリーマン、と言うのが、いかにリスクある稼業なのかよく分かっただろう」
「そんなこと言うと恨まれるかも」
「株、のイロハだよ」
「牛さんは、これからもつづけるの」
「当たり前じゃないか。株、というのは生命保険より正しい、と改めて分かっ
たんだから」
コメント(0) 

371  三毛猫夫婦

「ねえ、一時払い保険の保険料、上がるわよ」
「新聞に出ていたな」
「いまのうちなら、まだ間に合うみたいだけど」
「入るつもりなのか」
「どうしよかな、って」
「終身だぞ」
「途中で解約できるじゃない」
「それはそうだが」
「利回りが良いみたいだし」
「だからなんだよ」
「ええ??」
「利回りを高くするから、続けられなくなったんじゃないか」
「新聞にもそんなふうに書いてあったけど」
「いまどき、高利回り、なんてあり得ない」
「・・・・」
「俺だって、利息の楽しみは欲しい。でも、今はガマンなんだ」
「それは、分かってるけど」
「株ならともかく、保険で高利回りなんておかしいんだ」
「そうかしら」
「みんな、ほどよいところで解約するつもりなんだろうが、解約を前提にして
入る終身保険なんておかしいだろうが」
「保険会社も、それで良い、って言うもん」
「解約を前提にするなんて、生命保険としてはあり得ない。だから続けられな
くなるんだ。ザマ見ろ、だね」
「そんな」
「まあ、今はいってるヤツは影響ないけど、いつまでガマン出来るか見物だぜ」
「どういうことよ」
「だって、終身なんだ。自分が死ぬときまで、何十年もあるんだ」
「それはそうだけど」
「自分より先に、保険会社が死んだらどうするんだ。保険料は払い終わってい
るんだぞ」
「保障を大きくしたらダメ、ということなの」
「保障を大きくしないと、高利回りのメリットは出てこない」
「そうね・・」
「保障を大きくするほど、危険が高くなるのさ」
「安心のつもりが危険になる・・」
「そういうこと。俺が一番気にしているのは、保険会社自身のことだ」
「なんのこと・・」
「保険会社がつぶれたら、生命保険に入った意味がなくなるじゃないか」
「そういうことなのね」
「だから、高利回り、とかなんかのものを扱って欲しくない訳なんだ」
「どうなのかしら」
「結局、自分で自分のクビ絞めることになる」
「さあ・・」
「だから、募集中止するんだ」
「どうすればいいのよ」
「出来る限り契約は小さくして、違う会社に一口ずつ入る」
「わあ、面倒」
「安心、というのは面倒なんだ。しかし不思議だ」
「なによ」
「俺もそうだが、いざというときになるまで、会社がおかしくなるなんて事は
考えもしない」
「なったら困るわよ」
「だから、保険会社もおかしくなる、なんて考えもしないんだろうな」
「そうねぇ」
「会社がおかしくなるのも当たり前、なんて考え始めたら、サラリーマン稼業
なんてやってられないからな。保険会社もおかしくなる、なんて考え始めたら、
生命保険なんて入れるわけ無くなる」
「ねぇ、あなたの会社、大丈夫なの」
「急に、なんだ」
「だって、なんだか心配になってきた」
「そのときになるまで分からん」
「そんないい加減でいいの」
「分からないからこそ、明日も普通に会社に行けるんだ。能天気でないとサラ
リーマンは続けられない」
「・・・」
「だから、生命保険を見直せ、と言うのかも知れないな」
「なんのことよ」
「安心して続けられるかどうか、時々確認しろ、だろう」
「そうかしら・・」
「保険会社の名前で分かるだろう。10年前と今と比べてみればいい。同じ名
前はいくつあるか、だ」
「あなたの言うことは、正しいのかも知れないけど、でも、何かとんちんかん
という気もする」
「おまえがわからないだけだ」
「とんちんかんだから分からないのよ」
「俺のせいにするな。ダメなのはおまえだ」
「あなたを夫に選んだあたしがバカ、ということなの」
「そんなことは俺の知ったことじゃ無い。しかしな、生命保険に関しては、俺
の方が絶対正しい」
「どうだかわかんないわよ」
コメント(0) 

370  猿と狐

「みんな、なんで生命保険に入ったんだろうか」
「保険のおばさんに勧められたからだろう」
「家族の安心のため、を考えたわけではない、と」
「そういうヤツも居なくはないだろうけれど・・」
「じゃあ、なんのために」
「強いて言えば、保険のおばさんの顔たてるため」
「生命保険のことを理解したわけではない、と」
「おばさんたちは、今度こういう良いのが始まりました、とか言うだけで、生
命保険とは何か、なんて話はしなかったぜ」
「たしかにそうだった」
「おばさん達は毎日来た訳じゃ無い。たまにしか来ないが、なんのために来る
のか、誰だって分っていたはずだ」
「うん」
「我々だって、生命保険とは何か、なんて原理的なことに興味はない。お互い、
忙しいんだから、用件だけ早く言ってくれ、になる」
「あはは」
「それが、なにか、問題なのかい」
「おばさんのセールスは、そんなにすごかったのかな」
「うまいと言えばうまいが、すごい、と言うのとは違うと思う」
「と、言うと」
「言って欲しいと思っていることを言ってくれたからだろう」
「うーん」
「かつては、男は仕事だけだった。だから、やっぱり心の底では、家族に対し
て、何もしてない、という負い目があった。だから、家族の安心のために、と
いうのは痛いところでもあり、泣き所でもあった。罪滅ぼしということさ」
「そうだったな」
「どういう生命保険か、なんてことはどうでも良かったんだ。家族のために、
という一言にまいったんだよ」
「おれもこれで、少しは罪滅ぼしできる、と」
「家族を安心させられる、という一言が欲しかったんだよ」
「今もそうかな」
「働く条件そのものは今の方が厳しい。以前みたいな希望は持てないだろう」
「我々の時は、だれでも、いつかはそれなりのポストに就ける時代だった」
「だから家族より仕事、にも大義名分というか、意味があった」
「いまは、会社自体がどうなるか分からない時代だ」
「仕事一筋の時代じゃない」
「仕事に集中できるのは、限られた連中だけかも」
「保険のおばさんの出番はない・・」
「さあ。言ってもらいたい言葉を言えば、契約は取れるだろう」
「今の若手、働き盛りの世代は、どういう事を、どういう声を掛けてもらいた
いんだろうか」
「俺にも分からない」
「そうだろうな」
「でも、誰でも必ずあるんだよ。誰かから、そう言ってもらいたい、という一
言が。自分が知って居る人、自分が信用している人が言ってくれたら、一発で
決まる」
「なるほど。しかし、あいつはこういうことを言って欲しいと内心では思って
る、なんて、簡単に分からないだろう」
「そうさ。でも、それをつかむのがセールスの極意だろう」
「それはそうだろうが」
「まあ、俺たちはセールスマンじゃないから、関係ないが」
「でも、相手の心をつかむコツ、と言うことであれば、知っていても悪くはない」
「みんなが思っていること、で良いんじゃ無いかな」
「はて」
「本当は、生命保険と家族の安心は関係ないかも知れない。でも、みんな家族
の安心、と思っている。つまりさ、皆さんもそうですよ、とまず言えば良い」
「なるほど」
「誰しも仲間はずれになりたくないからね。つまり、仲間になる方法を教えて
やればいいんだ。皆さんもこの生命保険に入っていますよ、と」
「中には、オレ流、と言うヤツがいるぜ」
「そういうヤツには逆を言えば良い。こうすることで差を付けられる、と」
「うまく行くかな」
「基本のパターンはこれだけさ。何をどう話すか、は相手によって工夫しなけ
ればならないのは当然だ。あとは、完全な信用を得ること」
「うーん」
「あんたがそうしろと言うんだからそうする、と言ってくれる相手には、説明
すらしなくて良い」
「なるほど。そこまでは行けないし、怖いな」
「自分が命を懸けるなら、相手も命をくれる」
「止めてくれ。そういう時代じゃないし、そういう世の中になってもらっては
困る」
「それは、おっしゃる通りです」
「決め手の一言、というのも、怖いねぇ」
「そのときの世の中次第ですよ」
「うーん・・・・」
コメント(0) 
前の10件 | -